業務災害と通勤災害の違いって何???

こんにちは。

社会保険労務士事務所みらいの酒井です。

 

梅雨が明けましたね!

夏です!

オリンピックです!

 

初っ端から、柔道やらスケボーやら競泳やら、感動のメダル獲得ですね!!

あっちもこっちも見たくて、ザッピングしていて、結局大事な場面を見逃したり笑

 

 

今回のオリンピックでは、大会初、性転換した女性が参加しています。

いろいろ意見はあるようですが、私は大きなチャンスだと思っていて、

広く多様性を認識してもらうのによい契機。

ドイツの女子体操選手のユニタードも、とても良いと思います。

と、言うか、開会式の入場行進を見ていて、

「あれ?まだ男女で違うユニフォームの国があるんだなあ」なんて思っていましたので。

 

私の友人のお嬢さんは、中学受験をするのに学校選びの基準が

「女子もパンツスタイルを認めている学校」なんだそうです。

そんな視点、考えたこともなかったので、びっくりしましたが、

本人は「自分はスカートでもいいが、学校の方針として多様性を認めてほしい」と言っているそうで、

私も共感してしまいました。

 

小学校でもそういった視点での教育を進めているようで、

ちゃんと子供たちに伝わっているんだな、と思います。

 

これから先のオリンピックも、そういう観点からも楽しみです!

 

 

さて、今回は、業務災害と通勤災害の違いについて。

 

前回のブログ 

通勤災害の「通勤」に該当する?「業務」に該当する?~通勤災害その⑤

にて、

 

「業務災害と通勤災害では、事業主の災害補償責任が義務付けられているかどうか、の違いがあり、労災の申請用紙も違ってくることがあります。」

と書きました!!

 

業務災害って、業務中の災害で、

通勤災害って、通勤中の災害です。

 

どちらも働くことに関係のある怪我や疾病だと思うのですが、

実は、違いがあります。

 

業務災害と通勤災害の違い

 

大きな違いは

≪ 災害補償責任の有無 ≫

 

通勤災害と業務災害の大きな違いは、事業主の災害補償責任があるかどうかです。

 

 

業務災害=事業主の災害補償責任あり

通勤災害=事業主の災害補償責任なし

 

災害補償責任とは・・?

労働基準法では、事業主(使用者)は療養補償や休業補償、遺族補償などを行わなければならないと定められています。

 

ただし、労災保険の給付が行われる場合には、免除されます。

 

免除されないのは、労災でカバーしてくれない部分。

 

例えば、休業の際の給付。

労災の休業補償給付には、待機期間が3日間あり、休業4日目から支給されますので、休業3日目までの待機期間中は事業主が休業補償をしなくてはなりません。

待機期間中の休業補償は、平均賃金の60%。

 

通勤災害だと、この待機期間中の休業補償が不要なんです。

 

 

それと 

≪ 労災の用紙が違う ≫

 

労災申請の際に使用する用紙が、業務災害と通勤災害では違います。

 

 

例えば、労災指定病院を受診した際の用紙を比較してみると・・・

 

業務災害 (様式第5号 療養補償給付及び複数事業労働者療養給付たる療養の給付請求書)

 

通勤災害 (様式第16号の3 療養給付たる療養の給付請求書)

裏面の記載事項が違っています。

 

通勤災害の場合には、出社時なのか、退社時なのか、

災害発生の場所はどこなのか、通勤の経路や通勤所要時間など、詳しく書くことになっています。

 

そして・・・

 

気付きましたか? 書類の題名の違い!

 

業務災害では、「療養補償給付」とされ、「補償」という名称を使用しますが、

通勤災害では、補償という文言は入っていません。

 

 

≪ 一部負担金の有無 ≫

 

休業した場合、業務災害だと休業補償給付、通勤災害だと休業給付を受給できます。(前述のように、通勤災害では「補償」という言葉を使いません。)

 

その休業(補償)給付を受給する際に、通勤災害では一部負担金として200円支払う必要があります。

 

支払う、と言っても、実際には、最初の給付から200円減額されて支給されます。

200円ずつ徴収するのは大変ですから。

  

業務災害=休業補償給付=負担金無し

通勤災害=休業給付=最初に受給する際に、200円減額される

 

 

そして、

 

≪ 死傷病報告の提出義務の有無 ≫

 

業務災害の場合には、労働基準監督署へ「労働者死傷病報告」の提出が義務付けられていますが、

通勤災害の場合には、提出不要です。

 

死傷病報告について詳しくはこちらから~

「労災の死傷病報告の書き方、提出先」

 

 

 

それと、忘れてはいけない大きな違い

≪ 解雇制限 ≫

 

業務災害の場合、休業中とその後30日間は解雇できません。

 

 

労働基準法では次のように定められています。

「使用者は、労働者が業務上負傷し、又は疾病にかかり療養のために休業する期間及びその後三十日間は、解雇してはならない。ただし、使用者が、第八十一条の規定によつて打切補償を支払う場合又は天災事変その他やむを得ない事由のために事業の継続が不可能となつた場合においては、この限りでない。」

 

通勤災害での解雇については、制限がないんです。

 

よって、通勤中の事故による休業は、私傷病(労災でない病気や怪我)と同じように、就業規則で定められている休職期間が満了しても復職できない場合は、解雇することが可能です。

 

  

 

では、なぜ、業務災害は事業主の災害補償責任があり、通勤災害にはないのか。

通勤災害は、事業主の支配下で発生するのではない、という考えからだそうです。

 

支配下、って、どんなことかと言うと

事業主の指示で業務に従事している、とか、事業主が管理している事業場内、という

状況ですね。

 

通勤途中の駅や道路などは、事業主が管理しているわけではないので、災害補償責任はないのです。

 

 

まずは、業務災害なのか、通勤災害なのか、判断することが大事で、

その違いについても理解しておく必要がありますね。

 

 

「人」と「組織」と「社会」のみらいへ

社会保険労務士事務所みらいのスタッフブログを

最後までお読みいただきありがとうございました。

 

酒井

 

これまでの通勤災害のブログもよろしくお願いします (^-^)

通勤災害の「通勤」に該当する?~通勤災害その①

通勤災害の「通勤」に該当する?~その②「住居」「就業の場所」

通勤災害の「通勤」に該当する?~その③「合理的な経路および方法」

通勤災害の「通勤」に該当する?~通勤災害その④「逸脱、中断」

通勤災害の「通勤」に該当する?「業務」に該当する?~通勤災害その⑤

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