皆様こんにちは。
社会保険労務士事務所みらいの一條です。
6月土曜に息子の小学校で初めてのオンライン授業参観がありました。
授業参観と言えば保護者が教室の後ろに立っていて
なんだか緊張したという記憶がありますが
オンラインのためか子供たちは全くかしこまることなく元気いっぱいで
先生におこられたり、姿勢が悪かったりと
おそらく普段の授業の様子に近いものが見られました。
個人的には子供が取り繕った様子よりも普段どんな感じで過ごしているかを
見たかったのと、幼児連れで学校に行くのは大変なので
オンライン化は有難かったです。
保護者会もオンラインで進めるような話もあり、時代は変わりつつあるようです。
さて、今回は6月4日に参議院本会議で可決、成立した健康保険法等の一部を改正する法律について取り上げます。
第204回国会(令和3年常会)提出法律案「全世代対応型の社会保障制度を構築するための健康保険法等の一部を改正する法律案(令和3年2月5日提出)」
育休関係では
「育児休業中の社会保険料免除要件」が見直されます。
改正の経緯としては
新設される出生時育児休業(いわゆる男性版産休)を考慮する必要があること
「短期間の育休について、月末をまたぐか否かで保険料が免除されるか否かが決まるという不公平が発生」
「賞与月の月末時点で育休を取得していると、賞与の支払を受けている場合であっても、賞与保険料が免除されるため、賞与月に育休の取得が多いとの指摘がある」
(「」は社会保障審議会医療保険部会資料より)
という論点に対応する必要があること
以上を踏まえる形で一部が法改正されることになりました。
(令和3年2月12日 第140回社会保障審議会医療保険部会 資料3)
さて、改正部分を見ていく前に
現在の育休中の社会保険料(健康保険料、厚生年金保険料等)の免除要件を確認してみましょう。
現在実務では育児・介護休業法で定められた育児休業を取得する場合
〇給与 ①月末時点で休業していればその月の保険料は免除
(=月途中で完結する育休では免除されない)
〇賞与 支給月に休業していれば免除
という扱いです。
健康保険法(第百五十九条育児休業等をしている被保険者(第百五十九条の三の規定の適用を受けている被保険者を除く。)が使用される事業所の事業主が、厚生労働省令で定めるところにより保険者等に申出をしたときは、その育児休業等を開始した日の属する月からその育児休業等が終了する日の翌日が属する月の前月までの期間、当該被保険者に関する保険料を徴収しない。
厚生年金保険法は同様の内容のため省略、賞与は上記を準用
改正により
給与は
上記①のほか
②月内14日以上の休業でも免除(月末時点で休業していなくてもOK)
が加わり、要件が緩和されます。
一方、
賞与は
1か月超の休業に限り免除
と要件が厳しくなります。
(第百五十九条 育児休業等をしている被保険者(第百五十九条の三の規定の適用を受けている被保険者を除く。次項において同じ。)が使用される事業 )が使用される事業所の事業主が、厚生労働省令で定めるところにより保険者等に申出をしたときは、次の各号に掲げる場合の区分に応じ、当該各号に定める月の当該被保険者に関する保険料その育児休業等の期間が一月以下である者については、標準報酬月額に係る保険料に限る。)は、徴収しない。
一その育児休業等を開始した日の属する月とその育児休業等が(新設) 終了する日の翌日が属する月とが異なる場合その育児休業等 を開始した日の属する月からその育児休業等が終了する日の翌 日が属する月の前月までの月
二その育児休業等を開始した日の属する月とその育児休業等が(新設) 終了する日の翌日が属する月とが同一であり、かつ、当該月に おける育児休業等の日数として厚生労働省令で定めるところに より計算した日数が十四日以上である場合 当該月)
このほか、出生時育児休業、出生時育休後引き続き通常の育休に入った場合等も
現在の育休同様に免除となるようです。
(第百五十九条 2被保険者が連続する二以上の育児休業等をしている場合(これ(新設) に準ずる場合として厚生労働省令で定める場合を含む。)における前項の規定の適用については、その全部を一の育児休業等とみなす。)
どういう場合に保険料が免除、あるいは発生するか、いくつか例を挙げました。
現行)
1、休業1か月、月末時点で休業
育休期間:6月1日~30日、賞与6月15日支給
⇒6月分の保険料は免除、賞与の保険料も免除
2、休業14日以上、月末以外の休業
育休期間:6月1日~25日、賞与6月15日支給
⇒6月分の保険料は免除されない、賞与の保険料も免除されない
↓
改正後)
1、休業1か月、月末時点で休業
育休期間:6月1日~30日、賞与6月15日支給
⇒6月分の保険料は免除、賞与の保険料は免除されない
2、休業14日以上、月末以外の休業
育休期間:6月1日~25日(休業14日以上)、賞与6月15日支給
⇒6月分の保険料は免除、賞与の保険料は免除されない
3、休業14日未満、月末以外の休業
育休期間:6月1日~12日、賞与6月15日支給
⇒6月分の保険料は免除されない、賞与の保険料は免除されない
4、休業14日未満だが月末時点で休業
育休期間:6月20日~30日、賞与6月15日支給
⇒6月分の保険料は免除、賞与の保険料は免除されない
5、休業1か月超、月末以外の休業
育休期間:6月1日~7月15日、賞与7月15日支給
⇒6月分の保険料は免除、賞与の保険料も免除
6、休業1か月超、月末時点で休業
育休期間:6月1日~7月31日、賞与7月15日支給
⇒6月分、7月分の保険料は免除、賞与の保険料も免除
スタンダードなケースを考えてみましたが、実際にはもっと複雑なケースが出てくると想定されます。
育児休業関係では育児介護休業法、雇用保険法の改正もあり、合わせておえさておく必要がありそうです。
施行期日は令和4年10月1日です。
下記、現在の育休中の社保料免除要件と改正に関する参考情報です。
・育児休業期間中の保険料免除|日本年金機構 (nenkin.go.jp)
・第204回国会(令和3年常会)提出法律案|厚生労働省 (mhlw.go.jp)
全世代対応型の社会保障制度を構築するための健康保険法等の一部を改正する法律案(令和3年2月5日提出)
・第140回 医療保険部会資料(全体版)[PDF形式:4.9MB]
次回は育児休業Q&Aを考えてみようと思います。
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社会保険労務士事務所みらいのスタッフブログ。
最後までお読みいただきありがとうございました。
一條