皆様こんにちは。
社会保険労務士事務所みらいの一條です。
新年度が始まりました。
フレッシュな気持ちで日々を過ごしたいものです。
さて、年度始めは保育園入園が多い時期です。
保護者の転勤での入れ替わりや新クラスへの移行で受け入れ人数の枠が増える等で
一年の中で入りやすい時期ともいわれます。
さて、この保育園入園の申込をめぐっては、育休給付金を延長する目的で、あえて倍率の高い保育園に入園を申込む一部の家庭の行為が、自治体業務の支障になっているという問題がありました。
内閣府「令和5年 地方分権改革に関する提案募集 提案事項」で各自治体から寄せられた支障事例として
●窓口に「確実に保留になるためにはどのようにすればよいのか」という相談があった場合、入所意思のない者に対して制度の説明を含めて一から案内することになり、窓口対応に 30 分~1時間程度の時間が割かれる
●真に保育所の利用を必要とする保護者の相談・受付や、保留者へのフォローアップなど、寄り添った対応をするための時間の確保を難しくしている
●入所を希望しないにも関わらず、入所申込みを行う事例が年々増加しており、令和5年4月入所においては、申込件数の1割を超えている状況である
●入所申込を行っていない(忘れていた)者から、育児休業延長のために保留通知の交付を求めらることがある。しかし、入所申込があっていないため、入所保留通知は交付できない旨を伝えると逆ギレされる等の不要なトラブルに巻き込まれ、対応に時間を割かれるケースがある
などがありました。
このため、各自治体からは、育休給付金延長手続の審査を厳しく見直すよう国に提案があり、管轄の厚生労働省で検討を続けた結果、2024年3月25日に「雇用保険法施行規則の一部を改正する省令」が公布されました。
インターネット版官報 厚生労働省令第四十七号(令和6年3月25日号外第69号)
省令改正の内容は、令和7年4月1日以降申請分から
ハローワークでの育休給付金延長手続の審査が一部変更となる、というものです。
では、どのように変わるのでしょうか。
省令改正の原案となった厚生労働省労働政策審議会の資料「雇用保険法施行規則の一部を改正する省令案概要(育児休業給付関係)」で確認してみます。
まず、保育園に入れずに育休給付金の延長が認められる要件は
子が1歳に達する日又は1歳6か月に達する日後の期間に
「保育所等における保育の利用を希望し申込みを行っているが、当面保育が実施されない場合」です。
延長手続をする場合、子が1歳になる直前か直後の申請のタイミングで、育児休業給付金支給申請書と出勤簿と賃金台帳のほか、自治体が発行する「入所保留通知書」の写しをハローワークに提出します。
提出する入所保留通知書は、各月1日が利用開始日の市区町村の場合、誕生日の属する月(または1歳6か月に達する日の翌日の属する月)のものが必要です。
例えば、10月29日誕生日の場合、10月入所分の入所保留通知書(利用開始日が10月1日のもの)でなければなりません。
保育所の入所申込日が1歳の誕生日以降となっている場合や、保育所の入所希望日(利用開始日)が、1歳の誕生日の翌日以降となっている場合、申請しても延長されません。
審査に問題がなければ、まずは1歳6か月(1歳6か月の前々日)になるまで、さらに、1歳6か月になっても保育園に入れなかった場合、同様の手続で最長2歳(2歳の誕生日の前々日)になるまで延長される、という流れです。
この延長手続の中で
令和7年4月1日以降申請分からは、添付書類として出勤簿、賃金台帳、入所保留通知書のほか
●本人が記入する「申告書」
●市区町村に保育所等の利用申込みを行ったときの「申込書の写し」
が必要になります。
「申告書」には
・保育園利用開始希望日
・内定を辞退したか否か、辞退した場合はその理由
・申し込んだ中で自宅・勤務先から最も近い保育園と通園時間
・通園が片道30分以上の場合、その保育園を選んだ理由 等
を記入することが求められています。
現時点で公開されている申告書はこちら↓
(資料「厚生労働省【資料1-2】雇用保険法施行規則の一部を改正する省令案概要(育児休業給付関係)」一部抜粋)
令和7年4月1日以降申請分からは、保育園に申し込んだけれども入れなかったという現在の要件に加えて、「市区町村に申し込んだ内容が、速やかな職場復帰のために保育所等における保育の利用を希望しているものであると公共職業安定所長が認めるものであること」という要件が加わりました。
このため、ハローワークで本人に復職する意思を確認することも場合によってはあるようです。
令和7年4月1日以降申請分では、どこまで厳密な審査がされるのか、気になるところです。
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最後までお読みいただきありがとうございました。
一條