健康保険証とマイナンバーカード

 ご無沙汰しております。社会保険労務士事務所みらいの飯村です。

 

全国健康保険協会(協会けんぽ)の発行する「GUIDE BOOK」が、2023年度版に
更新されました。

こちらのガイドブックでは、医療保険の仕組みや、協会けんぽの財政状況、健診等の
保険事業、保険給付などについて網羅されています。

 

こちらのガイドブックでは、新様式での申請書の記入方法や必要書類などが詳しく
書かれています。

 
前回のブログでは、新様式での傷病手当金支給申請書についてご案内しましたが、
その他ほぼすべての申請書の書き方をこちらのガイドブックで詳しくご紹介しています。

 

先日、マイナンバーカードと健康保険証を一体化し、紙の健康保険証を2024年秋を
めどに廃止する、という方針が改めて話題になりました。

 

医療機関・薬局の窓口で、患者の方の直近の資格情報等(加入している医療保険
や自己負担限度額等)が確認できるオンライン資格確認の運用導入率は、9月3日
時点で全国で84.3%。

導入が進む中で、マイナンバーカードでの健康保険加入が確認できないトラブルが
発生していることが明らかになってきました。

当事務所の8月29日付人事労務ニュースでもご案内しましたが、厚生労働省が発表
した通達
について、詳しく見ていきたいと思います。

 

【マイナンバーカードによるオンライン資格確認を行うことができないケース】

・資格確認端末で、「資格(無効)」、「資格情報なし」と表示される。

 ⇒直近の資格情報が無効(前職等での資格喪失済み)で、新しい資格情報(転職
先等での取得手続きが未だ)が確認できない。
または、保険者でデータ登録がされていない、データを確認中の場合など。

・医療機関等の機器不良などが原因で、オンライン資格確認ができない。

 

【対策】

 
・患者自身のスマホでマイナポータルの保険資格情報画面を提示したり、健康保険証
を提示する。

・上記ができない場合は、被保険者資格申立書を可能な範囲で記入・提出し、窓口での
負担を自己負担分のみとする。

・顔認証がうまく機能しない場合は、目視による本人確認を行うことも可能とする。
(顔の目視は、、、慣れていない職員の方にちょっと負担のような気もしますが)

 

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資格情報なし、などど表示されるケースですが、資格喪失手続きは、前職が行います。
新しい資格取得手続きは転職先が行いますので、タイミングが全く異なり、この差が
「資格情報なし」と表示される原因の一つのようです。

一般的にですが、取得の手続きは、早く健康保険保険証を渡してあげたいので、入社後
速やかに手続きを取ることが多いように思います。
喪失手続きは、そんなに急いで行うケースは少ないように感じるのですが。。。

 

協会けんぽに、取得手続き完了後(取得確認通知書交付後)、どのくらいでオンライン
資格確認システムにデータ登録されるのか(マイナンバーカードを医療機関で利用
できるのか)を、聞いてみました。

 

すると、現時点ではデータ反映のタイミングが確定されていないため、健康保険証の
到着を待って医療機関を受診されるのが確実です、との返答でした。

 

取得手続きを電子申請した場合、通知書交付まで1日~数日、その後保険証が事業所
に到着するまで約1週間、です。 

 

さらに、注意したほうが良いこととして、マイナンバーカードで受診した場合、新しい資格情報に切り替わる前の資格情報のまま、医療機関を受診してしまうこと。

つまり、気づかずに退職前の健康保険証を使用してしまうこと、です。

もしも、退職前の健康保険証を使用してしまった場合、前の保険者が負担してくれた
7割の保険料を一旦被保険者が前の保険者に支払い、新しい保険者に7割分を請求
する、療養費の請求の手続きが必要になってしまいます。

 

転職後や保険証が変わった後、マイナンバーカードで医療機関を受診する場合は、オン
ライン資格確認で確認できた保険者が現状と正しいかどうか、注意する必要があります。

被扶養者は、保険者名までは分からない場合があると思いますので(お子様等の
場合は、保険証が変わったこともご存じないかも…)、特に注意する必要があると思います。

 

被保険者自身だけでなく、事業主も、新規入社の方には上記のケースがあることを、
あらかじめ伝えておかれるのが良いと思います。

 

今回の通達では、上記のような、資格確認ができないケースをあらかじめ被保険者に
周知しておくとともに、転職等で保険証が新しくなった場合は、受診前にマイナポー
タルで新しい資格が登録されているか事前に確認すること、念のため健康保険証も
持参すること、を周知してほしい、となっています。

このような対応は、仕組み整備までの時限的なもの、とのことですが…

 

さて、資格確認ができなかった場合に提出する「被保険者資格申立書」はこのように
なっています。

厚生労働省HPより

 

マイナンバーカードを持参して受診しているため、「2マイナンバーカードの券面事項
等」、はその場で記入できると思いますが、「1保険証等に関する事項」について、
保険者等名称と事業所名のどちらかを書くことはできそうでしょうか。
 

被保険者資格申立書を提出すれば自己負担分のみで医療機関を受診できる、となって
いますが、その後保険者が特定できなかった場合は(有効な健康保険証を有しているか
判明しなかった場合は)。

⇒「災害等の際の取扱いに準じ、各保険者等で、当該医療機関等に対する診療報酬等の
支払実績に応じて診療報酬等を按分して支払うこととする。」
となっています。

なるほど、最終的に、けんぽ等が負担する、んですね。
どれほどこのケースが発生するのかは不明ですが、悪用の懸念もありますし、できる
限り早い仕組み整備が望まれます。

 

尚、「被用者保険の加入者にオンライン資格確認等システムへのデータ登録状況を
お知らせする仕組みの整備に係る詳細については、別途通知する。」
となっています。

 

ちなみに、私のスマートフォンはマイナポータルアプリに対応していないため、自分の
保険の資格情報をすぐに確認することができません。。。残念。

マイナポータルがスマホに入っている方は、一度資格情報を確認されてみてはいかが
でしょうか。

  

最後までお読みいただきありがとうございました。

「人」と「組織」と「社会」のみらいのために

社会保険労務士事務所みらいのメンバーブログを、
どうぞよろしくお願い申し上げます。

飯村

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