監督署が求める派遣の同一労働同一賃金チェックリスト

前回のコラムでは正規労働者と非正規労働者に関する同一労働同一賃金のチェックリストについて触れました。

同一労働同一賃金に関しては、労働者派遣法においても適応されており、派遣労働の適切な実施と派遣労働者の待遇改善を目的として改正されております。

労働基準監督署の調査で派遣労働者を受け入れている事業に対しても、チェックリストで確認を求めておりますので、その内容について触れてみます。

労働者派遣法は令和2年4月1日に改正施行され、派遣労働者に対して、 派遣先の労働者との均等・均衡待遇か、或いは労使協定によって同種の業務に従事する一般労働者の平均的な賃金と比べ、派遣労働者の賃金が同等以上であることなどを求める内容となってます。

派遣労働者に対する同一労働同一賃金に関する対応は、派遣元となる事業主(派遣会社)に対して適用されるものになりますが、その対応については労使協定方式を採用することが殆どになっています。

厚生労働省から公開された資料によると、令和3年6月1日時点では、派遣先との均等・均衡方式を採用している派遣事業主は7.8%、労使協定方式を採用しているのは88.2%、併用しているのは4.0%となっています。

これは4万件ある派遣事業主から1割弱を抽出しての結果になりますが、令和2年の結果でも同様の結果となっておりますので、殆どの派遣事業主が労使協定方式で対応していることが分かります。

派遣労働者に対する同一労働同一賃金は、派遣元事業主である派遣会社が対応するもの、といった感じが強いのではないでしょうか。

実際に派遣労働者を受け入れている派遣先事業主が、派遣元がどのようにして派遣法上の同一労働同一賃金に対応しているのかは知るよしも無いのが実情です。

ただ、今回労働基準監督署では定期監査等の調査において、派遣労働者を受け入れている派遣先事業主に対しても、「チェックリスト」による情報収集を行っております。

派遣労働者を受け入れている場合には、労働基準監督署の調査の際にこのチェックリストの回答を求められることになります。

 

ではチェックリストの内容を確認しておきましょう。

チェックリスト、というよりは、アンケートと呼ぶ内容に等しい感じがします。

設問2で派遣労働者が派遣元で受けている待遇決定方式が、「派遣先均等・均衡方式」「労使協定方式」かを聞いています。

恐らく即答できる事業主は「派遣先均等・均衡方式」を採用している場合のみだと思います。

というのは、「派遣先均等・均衡方式」を採用している場合、そのあとの質問3~5の内容を派遣元事業主に情報提供を行います。

情報の提供が無い場合には、労使協定方式となっていると認識したほうが良さそうです。

派遣先が派遣法において定めている同一労働同一賃金について、知っている、理解しているとは、考えにくいところがあります。

設問2で「労使協定方式」または「わからない」と回答した場合には、設問6に飛びます。

ここでは福利厚生施設の利用の機会について回答する内容になっています、

設問7と設問8についても、正直回答は「わからない」とすることが多いのではないかと思われます。

チェックリストを見て思うのは、行政側も当然にして私が抱く感想は承知のうえで、派遣法改正の実態について、派遣先である受入側がどの程度理解しているかを知りたいのではないかと思います。

 

荒木康之

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