
皆様こんにちは。
社会保険労務士事務所みらいの一條です。
健康保険証がいずれマイナンバーカードと一体化するらしい、ということで
先日家族全員分のマイナンバーカードをオンライン申請しました。
申請手続が煩雑な印象があったのですが、
封筒で届いた交付申請書のオンライン申請用QRコードを読み取ると
名前や申請用ID等が既に登録されており、あっという間に申請ができてしまいました。
入力した部分は生年月日と連絡用のメールアドレスくらいだったような。
申請自体は簡単だったのですが、下の子供の証明写真を自宅で撮るのには苦労しました。
3歳男子、背景無の場所に真顔で正面を向いてじっとなんかしてくれません。
30分かけてようやく撮った渾身の一枚、無事に審査を通ってくれるといいです。
なんとか撮り終えて申請した数日後に、
乳幼児のマイナンバーカードには顔写真を使わないように検討するって。
もう少し早く知りたかった。。。
さて、今回は
出生時育児休業の繰り上げ・繰り下げ・撤回のルール
について取り上げます。
出生日が出産予定日より早まったり遅れたりするケースがあります。
男性の場合、出生時育休を出産予定日に合わせて取るというニーズもあると考えられます。
では、出生日と出産予定日がずれてしまった場合、
当初出産予定日で申し出ていた出生時育休の休業期間は変更できるのでしょうか。
育児介護休業法第9条の4では、
開始予定日の「繰り上げ」(=早めること)
終了予定日の「繰り下げ」(=遅らせること)
が認められています。
一方、開始予定日の「繰り下げ」と
終了予定日の「繰り上げ」については、定めがありません。
認めるか認めないかは、会社判断になるでしょう。
労使話合いで決まることもあるかもしれません。

では、どのような場合に変更ができるのでしょうか。
開始予定日の「繰り上げ」は
出生時育休開始予定日の前日までに
●出産予定日よりも早く子が出生した場合
●配偶者の死亡、病気、負傷等
の特別の事情がある場合です。
(育介法9条の4関係)
一方、終了予定日の「繰り下げ」は「事由を問わず」変更が認められています。
いずれも1回の休業につき、1回変更ができます。
そのため、出生時育休を2回に分けて取る場合は
それぞれ1回ずつ変更ができます。
(育介法9条の4関係)
変更の事由が生じたとしても、
休業予定日は自動的に変更されるわけではありません。
労働者が変更を希望しなければ当初の予定のまま休んでも問題ありません。
変更を希望する場合の手続としては、
労働者から事業主に変更の申出が必要になります。
申出期限もあります。
開始日の繰り上げ変更は、1週間前
終了日の繰り下げ変更は、2週間前
までとなっています。
(育介法9条の4関係)
出生時育休の繰り上げ・繰り下げ・撤回のルールは、
通常の育休とほぼ同じですが
終了日の繰り下げ変更の申出期限が通常の育休は1か月前と異なっている点には注意が必要です。
たとえ法律で申出期限が定められていたとしても
たとえば、予定日より早く子供が生まれた場合、
申出期限より遅れて申請する状況が予想されます。
申請期限より遅れて申請したからと言って、変更ができないわけではありません。
この場合は、事業主は、変更の申出日の翌日から起算して1週間を経過する日(申出日の属する週の翌週の応当日=曜日が同じ日)までの間で指定できることになっています。
(育介法9条の4関係)

図で休業申出から休業期間の変更までの流れを確認してみます。
図は、4月1日に当初5月1日から休業開始を申出したケースです。
4月8日に子供が出産予定日より早く産まれる等の特別の事情が発生し、
4月9日に4月10日に休業開始日を変更したい旨を事業主に申出したものの、
法で定める申出期限より申出が後だったため、
事業主は労働者の変更申出日の翌日の4月10日から
1週間を経過する日の4月16日までの間で休業開始日を指定できることになります。
法律どおり厳密に対応しようとすると、手続が複雑そうな印象を受けます。
変更に応じたときに出生時育休期間内に収まっているかも確認する必要が出てきます。
事業主は、産後パパ育休を開始する日の繰上げ変更又は
産後パパ育休を終了する日の繰下げ変更の申出がなされたときは
①変更申出を受けた旨
②変更後の開始日及び終了日
を労働者が変更申出をした時点から
おおむね1週間以内に書面か、労働者が希望する場合は電子メール等で通知しなければなりません。
(育介則21条の8、育介則21条12関係)
法の定めがない休業開始日の「繰り下げ」変更と
終了予定日の「繰り上げ」変更のような休業期間の短縮等については、
どのように対応したらよいでしょうか。
厚生労働省では、下記のように考え方を示しています。
「労働者の申出だけでは当然にはできません。このような場合は、労使でよく話し合ってどうするかを決めることになります。労働者が希望した場合には休業期間を変更できる旨の取決めやその手続等をあらかじめ就業規則等で明記しておくことが望ましいと考えられます」
(厚生労働省「育児・介護休業法のあらまし(令和4年3月作成)」P53)
法令どおりに運用することは問題ないですが、『産後パパ育休に関し、この法律に示されたものより労働者に有利な条件を設定することは、労働者の福祉の増進を目的とするこの法律の趣旨からも当然許される』ことから、事業運営上大きな支障がなければ、労使の話し合いで決められるようにしておくのもよいのかもしれません。
(『』は厚生労働省「育児・介護休業法のあらまし(令和4年3月作成)」P43引用)
最後に、撤回について。
出生時育休取得の撤回は、休業開始予定日の前日までに事業主に申し出ることにより撤回できます。
撤回1回につき1回休業したものとみなされます。
2回撤回した場合、再度の申出はできません。
産後パパ育休を2回に分割する場合にまとめて申し出なかった場合は、
事業主は後の申出を拒むことができるとされています。
1回の申出で1回分の休業を申し出て、その休業を撤回した場合は、
2回目分の産後パパ育休を取得することはできません(事業主が任意で取得させることは差し支えありません)。
(厚生労働省「育児・介護休業法のあらまし(令和4年3月作成)」P54)
次回は
「改正育児・介護休業法 ~出生時育児休業の就業①~」
を取り上げる予定です。
「人」と「組織」と「社会」のみらいのために
社会保険労務士事務所みらいのスタッフブログ。
最後までお読みいただきありがとうございました。
一條