岸田内閣が発足し、これから総選挙を迎えますが、内閣が変わって変わらないのが働き方改革です。
働き方改革は新型コロナウィルス感染症の感染拡大を受けて、その意義が認められ、時計の針がぐるぐる回って時が早く進むがごとく改革のスピードが速まってきたと感じています。
第2段階に入ったといえる働き方改革でどんなことが行われるのでしょうか?
菅内閣の時のことですが、骨太の方針ということで、「経済財政運営と改革の基本方針2021」が6月18日に閣議決定されています。
総理大臣が変わっていますが、正直言って、政権政党が変わったわけではありませんし、岸田首相の性格から考えると大きく変えると考えられません。
この中で働き方改革に触れている重要な部分がありますので、抜粋しながら紹介したいと思います。
これは「骨太の方針2021」として発表されたものになり、現在概算要求が行われている来年度予算に盛り込まれている元になっています。
ですから岸田政権になっても、骨太の方針2021に盛り込まれている内容は来年度は実行されるとみても間違いないでしょう。
骨太方針2021では4つの原動力として、グリーン、デジタル、地方、少子化対策といった内容が盛り込まれています。
この4つの原動力を支える基盤づくりの一つとして、多様な働き方の実現に向けた働き方改革の実践、リカレント教育の充実がフェーズⅡの働き方改革、企業組織の変革として取り上げられています。
具体的に下記の内容になっています。
- 感染症の影響からテレワークの拡大などの変化を後戻りさせず、働き方改革を加速させる。
「新たな日常」の象徴であるテレワークについては、ワンストップ相談窓口の設置等、企業における導入を支援するとともに、ガイドラインの普及に取り組む。 - 労働時間削減等を行ってきた働き方改革のフェーズⅠに続き、メンバーシップ型からジョ
ブ型の雇用形態への転換を図り、従業員のやりがいを高めていくことを目指すフェーズⅡの働き方改革を推進する。 - 裁量労働制について、実態を調査した上で、制度の在り方について検討を行う。
- 兼業・副業の普及・促進のため、ガイドラインの周知、取組事例の横展開等に取り組む。
- 選択的週休3日制度について、育児・介護・ボランティアでの活用、地方兼業での活用な
どが考えられることから、好事例の収集・提供等により企業における導入を促し、普及を図る。 - また、フリーランスについて、ガイドラインを踏まえ、関係法令の適切な適用等を行うとともに、事業者との取引について書面での契約のルール化などを検討する。
- これらの取組により、多様で柔軟な働き方を選択でき、安心して働ける環境を整備する。あわせて公的職業訓練における在職者の訓練の推進、教育訓練休暇の導入促進等を含め、働きながら学べる仕組みを抜本的に見直すとともに、周知を徹底することにより、その活用を図る。
ここで注目していのは2にある文言として出てきた働き方改革のフェーズⅠが「長時間労働」への対策であったとでています。
そしてフェーズⅡとしては、メンバーシップ型からジョブ型雇用への雇用形態の転換を図るとあります。
この意味はいきなり同一労働同一賃金を目指すというものではありません。
ジョブ型雇用とは、職務や勤務場所、勤務時間が限定された働き方等を選択できる雇用形態を意味しています。
限定正社員のような働き方を普及していく流れが目指すところは、多様な働き方の実現を目指す、というところにあるでしょう。
テレワーク、副業・兼業、週休3日制などどあいまって多様な働き方の普及と実現を目指していこうとすることが、働き方改革のフェーズⅡであることがわかります。
正社員であればどんな職務にも就き、どのような役割でも受け入れるメンバーシップ的な働き方から、多様な働き方を取り入れた制度に代わっていくことを示しています。
この流れは短期的な取り組みでは実現できません。
中長期的な働き方を変えていこうという流れであり、政権が変わっても継続しなければならないものになるでしょう。
働き方改革はまだまだ続きます。
荒木康之
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