労働保険・社会保険の保険料の猶予制度

納付書

 

みなさんこんにちは。

社会保険労務士事務所みらいの小池です。

新型コロナ、ついに緊急事態宣言が出されるまでの事態となりました。

業種によっては営業の自粛要請まで出されるようになり、

街も活気がない状態です。

早くこの状態が収束し、飲み会や旅行ができるようになると良いですね。

 

これから労働保険の年度更新、社会保険の標準報酬の算定といった

手続きが行われる時期に突入するのですが、

果たして通常通り7月10日期限で行えるのか不安を抱えております。

期限の変更等が発生しましたら、またご案内いたします。

 

 

さて今回は事業所が納付する保険料の納付猶予制度についてご案内します。

労働保険(労災保険・雇用保険)と社会保険(健康保険・厚生年金保険)には、

それぞれ保険料の納付猶予制度があります。

(2020年4月16日現在の内容で記載しております。)

 

労働保険については事業主本人や家族、労働者党が新型コロナに感染し、

消毒作業などで財産に相当の損害が出た場合や、

各種イベントの中止・延期、観光客減少により

売り上げが著しく低下し、労働保険料の納付が困難になった場合、

申請することにより、一定期間、納付の猶予や換価の猶予を受けることができます。

(換価とは差し押さえた財産を売却し、その代金で保険料を支払うことを言います。)

 

新型コロナウイルス感染症の発生に伴い、

負債を除く財産の20%以上に損失(相当の損失)を受けた場合

「災害による納付の猶予」を受けることができる場合があります。

猶予期間は1年の範囲内で、被害のあった財産の損失状況及び

財産の種類を勘案して決定されます。

猶予される保険料は、損害を受けた日以後1年以内に納付するもの

(納期限が損害を受けた日以後に来るもの)に限られます。

管轄の都道府県労働局に「労働保険料等納付猶予申請書」等を提出し、

猶予が認められると、猶予期間中の延滞金が免除され、

財産の差し押さえや換価(売却)が猶予されます。

 

相当の損失を受けたと認められず、

「災害による納付の猶予」と認められなかった場合でも、

一定の条件を満たせば、通常の場合の「納付の猶予」として

猶予が認められる場合があります。

猶予期間は1年の範囲内で、財産の状況や収支の状況に応じて、

最も早く保険料を完納できると認められる期間となります。

(完納できないやむを得ない理由があると認められれば、

最長2年まで延長が認められます。)

条件は以下の通りです。

・財産につき、震災、風水害、落雷、火災その他の災害を受け、又は盗難にあったこと

・事業主又はその生計を一にする親族が病気にかかり、又は負傷したこと

・事業を廃止し、又は休業したこと

・その事業につき著しい損失※を受けたこと
 ※「著しい損失」とは、申請前の1年間において、その前年の利益額の

   2分の1を超える損失(赤字)を生じた場合をいいます。

 

通常の場合の「納付の猶予」が認められた場合は、

猶予された金額を猶予期間中に分割して納付することができ、

猶予期間中は延滞金が免除され、財産の差し押さえや換価(売却)が猶予されます。

通常の場合の「納付の猶予」は、猶予を受けようとする労働保険用等の

金額に相当する担保の提供が必要となります。

(100万円以下の場合、猶予期間が3ヵ月以内の場合、

担保として提供できる財産がない場合は、担保の提供をする必要はありません。)

通常の場合の「納付の猶予」を受けようとする場合は、

猶予を受けようとする期間より前に申請する必要があります。

 

「換価(売却)の猶予」を受ける場合は、以下の要件に全て該当する必要があります。

・労働保険料等を一時に納付することにより、

 事業の継続等を困難にする恐れがあると認められること。

・労働保険料等の納付について誠実な意思を有すると認められること。

・納付すべき労働保険料等の納期限から6ヵ月以内に申請されていること。

・換価の猶予を受けようとする労働保険料等より以前の滞納がないこと。

・原則として、猶予を受けようとする金額に相当する担保の提供があること。

換価の猶予が認められると、猶予された金額を猶予期間中の

各月に分割して納付することになり、期間中の延滞金が免除されます。

また、必要があると認められる場合には、

事業の継続又は生活の維持を困難にする恐れがある財産の差し押さえが

猶予または解除されます。

 

労働保険の納付猶予を受けられたい場合は、

都道府県労働局や労働基準監督署にご相談ください。

 

労働保険料の猶予制度については以下もご確認ください。

厚生労働省 新型コロナウイルス感染症関連情報

 

 

社会保険料についても、労働保険と同様に猶予の制度があります。

「換価(売却)の猶予」と「納付の猶予」となります。

 

社会保険料等を一時に納付することにより事業の継続

又は生活の維持を困難にするおそれがある場合に、

「換価(売却)の猶予」を受けることができます。

「換価(売却)の猶予」を受けられる要件は労働保険と同様となります。

(「労働保険」の部分が「社会保険」となります。)

猶予が認められると、

・猶予された金額を猶予期間中の各月に分割して納付することになる

・既に差し押さえられている財産の換価(売却)が猶予される

・事業の継続又は生活の維持を困難にする恐れがある財産の差し押さえが

猶予または解除される

・換価の猶予期間の延滞金の一部が免除される

といった措置がとられます。

 

災害、病気、事業の休廃業などによって保険料等を

一時に納付することができないと認められる場合、

社会保険料の「納付の猶予」を受けることができます。

「納付の猶予」についての要件は、

労働保険の通常の場合の「納付の猶予」と同様となります。

受けられる猶予は以下の通りです。

・猶予された金額を猶予期間中の各月に分割して納付することになる

・新たな差し押さえや換価(売却)などの滞納処分の執行を受けない

・既に差押えを受けている財産がある場合には、

年金事務所に申請することにより、その差押えが解除される場合がある

・納付の猶予が認められた期間中の延滞金の全部又は一部が免除される

 

社会保険の納付猶予を受けられたい場合は、

事業所を管轄する年金事務所にご相談ください。

 

社会保険料の猶予制度については以下もご確認ください。

日本年金機構 新型コロナウイルス感染症関連情報

 

このように、労働保険、社会保険ともに保険料の猶予の制度がありますので、

助成金等と併せて、うまく活用いただければと思います。

 

「人」と「組織」と「社会」のみらいのために

社会保険労務士事務所みらいのスタッフブログ。

最後までお読みいただきありがとうございました。

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