労働時間制度あれこれ(1) 1ヵ月単位の変形労働時間制

 

みなさんこんにちは。

社会保険労務士事務所みらいの小池です。

4月を迎え、生活に変化があった方も多いのではないでしょうか。

私も産休・育休に入った一條さんの担当を引き継いだため、

いつも以上に落ち着かない4月を過ごしています。

 

そんな引継ぎ真っ最中の中、人生初のぎっくり腰をやってしまい、

更に大変な思いをしておりました。

よくテレビドラマなどで、ぎっくり腰になった人が全く動けなくなるといった姿が

描かれていたりして、本当に動けないの?と思っていたのですが、

実際になると、本当に動けなくなるんですね。

少し動かしただけで激痛が。

痛み止めと湿布で乗り切ったのですが、

やってしまった直後の2、3日は非常に辛かったです。

もう2度とはなりたくないですね。

今はもう痛みもないので大丈夫ですが、またいつなるか分からないので、

痛み止めは自宅に常備しておこうと思います。

 

さて今回から、色々な労働時間制についてお話したいと思います。

まずは「1ヶ月単位の変形労働時間制」です。

変形労働時間制とは、使用者(会社側)が労働時間を弾力的に運用する制度で、

対象となる期間における所定労働時間が法定労働時間の総枠の範囲内であれば、

労働者を特定の週、日に法定労働時間を超えて労働させることが出来る制度です。

 

「1ヵ月単位の変形労働時間制」は1ヵ月以内の期間において繁閑の差がある業務について、

労働時間の配分を行い、労働時間の短縮することを目的の1つとしています。

月初は比較的暇で、月末は忙しいといった業務の場合、

暇な月初は1日の労働時間を短くし、その分月末の労働時間を長くするといった

運用方法です。

 

「1ヵ月単位の変形労働時間制」を採用するには、労使協定を結ぶ(届出が必要です)か、

就業規則その他これに準ずるもの(労働者が10名以下の場合の就業規則に準じる規則)に

定める必要があります。

また、下記の事項を定めなければなりません。

(1)変形期間の長さ(1ヵ月以内)とその起算日

  (「毎月1日を起算日とし、1ヵ月平均で1週40時間以内とする」、など)

(2)対象労働者の範囲

(3)変形期間における各日・隔週の労働時間

(シフト表で変形期間前に決定し、通知するとなっている所が多いのではないでしょうか。)

(4)労使協定の有効期間(労使協定を結んで採用する場合)※3年以内が望ましいとされています。

 

「1ヵ月単位の変形労働時間制」の場合、

労働時間を弾力的に運用する対象となる期間(変形期間と言います)は、

1ヵ月以内の期間となります。

この変形期間内の所定労働時間(労働時間として使用者が定めた時間)が

法定労働時間の上限の範囲内であれば、労働者に特定の週・日に法定労働時間を

超えて労働をさせることができます。

 

法定労働時間の上限は、以下の計算式で計算されます

 

1ヵ月単位の変形労働時間制 上限時間
法定労働時間の条件の計算方法(厚生労働省リーフレットより)

 

※労働者数が常時10人未満の商業、映画・演劇業(映画の製作の事業を除く)、

保健衛生業、接客娯楽業の場合は44時間となります。(特例処置対象事業場)

 

この上限を超えないように、各日、各週の労働時間を設定し、

上限内に収めている場合には、1日10時間働く日があったとしても、

時間外労働の割増対象とはなりません。

 

例えば、変形期間を4週間(28日)※うるう年以外の2月 とした場合、

法定労働時間の上限は40時間×4週=160時間となります。

週の前半は比較的業務が暇なので第1週は30時間(1日6時間)、

第2週は35時間(1日7時間)、第3週は40時間(1日8時間)、

第4週は55時間(1日11時間)とした場合、

変形期間の平均では40時間を超える週はなく、

トータルでも上限の160時間以内に収まっているので、

残業代の支払は発生しません。

(第4週の40時間を超えた15時間分は残業とはみなされなくなります。)

 

1ヵ月単位の変形労働時間制で、時間外労働となり、

割増賃金の支払いが必要となるのは、以下の場合です。

(1)1日

1. 8時間を超える労働時間を定めた日については、定めた時間を超える時間

(10時間労働と定めた日で11時間労働した場合は、10時間を超えた1時間が残業扱い)

2. 上記以外の日は8時間を超える時間

(8時間労働の日に11時間労働した場合は、8時間を超えた3時間が残業扱い)

 

(2)1週間※(1)1日で既に残業として計算している時間は除く

1. 40時間を超える労働時間を定めた週については、定めた時間を超える時間

(週45時間労働と定めた週に、50時間労働した場合は、45時間を超えた5時間が残業扱い)

2. 上記以外の週は40時間を超える時間

(週40時間労働と定めた週に、50時間労働した場合は、40時間を超えた10時間が残業扱い)

 

(3)変形期間※(1)1日と(2)1週間で既に残業として計算している時間は除く

1. 法定の限度時間を超える時間

(4週160時間の変形期間で、180時間労働した場合は、160時間を超えた20時間が残業扱い)

 

残業時間はダブルカウントしませんので、1日で既に残業として計算されている時間は、

週、変形期間の残業時間の計算からは除かれます。

週で残業として計算されている時間は、変形期間の残業時間の計算からは除かれます。

労働時間制_差し替え-2
時間外労働(割増賃金)の考え方(厚生労働省リーフレットより)

 

1ヶ月単位の変形労働時間制は、あらかじめその日の所定労働時間を

定めておかなければなりません。

使用者が業務の都合によって、任意に労働時間出来るような制度

ありませんので、ご注意ください。

 

以上をもちまして、「平成」最後の私のブログといたします。

「令和」になっても、引き続きお付き合いください。

 

「人」と「組織」と「社会」のみらいのために

社会保険労務士事務所みらいのスタッフブログ。

今回も最後までお読みいただきありがとうございました。

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