若い世代の働く意識

新入社員

 

「今どきの若いもんは・・・」
私もこういったセリフが似合ってしまう年齢になってしまいました。

どうしても我々年代になってしまうと、自分たちの生き方を肯定し若い世代の生き方や意識を否定したくなるものです。

私の世代は団塊の世代の後で、しらけ世代とも言われております。

学生時代にオイルショックを経験し、高度経済成長とバブル期のはざまの中で、「無気力・無関心・無責任」の三無主義を中心とした個人主義の傾向が強い世代のようです。

前の世代である団塊の世代が集団主義や競争社会を演出していたのに比べると、確かに個人主義的な考え方が強くなっている世代なんだろうなと思います。

さて、では今の若い人たちの世代が働く意識や考え方はどうなっているのでしょうか。

最近二つの注目したい調査結果が公表されましたので、ご紹介しましょう。

一つは学校法人産業能率大学の2017年度「新入社員の会社生活調査」、もう一つは
公益財団法人日本生産性本部 の2017年度「新入社員 春の意識調査」です。

ともに毎年実施している調査ですが、共通する調査結果から世代の特徴を感じ取れます。

調査では昨今の働き方改革の議論に関する質問があります。

産業能率大学の調査では月の時間外労働に対する認識を問う質問があり、男性の約6割、女性の約8割が「30時間以上の残業は許容できない」と回答しています。

1ヵ月の残業時間はどの程度なら許容できるかについて、「11~20時間」が27.9%で一番多く、次いで「21~30時間」が24.9%とあります。

残業許容時間「0時間」から「21~30時間」までを合計すると約7割となっています。

また日本生産性本部の調査では、「働き方改革」で重要と思うテーマの1位は「長時間労働の是正」 23.9%をあげており、また残業が少なく自分の時間が持てる職場が良いとする答えが74.0%と高水準の回答率となっています。

若いときには自分自身のキャリア形成のために、「時間を惜しんで仕事に打ち込め」、「若いときの苦労は一生の宝」と教えられた世代からすれば隔世の感がありますね。

自分を振り返ってみても、若いときの経験(特に失敗)はその後の人生における肥やしになっていることは間違いないのですが、このことと労働時間との関係を考えていく必要がありますね。

成功経験は人を保守的にさせ、失敗経験は革新的にさせていくと思います。

私は成功体験よりも失敗経験により多くの学びを得る人生を送っていますので、若い人たちにもより多くの経験を積ませていく工夫が求められていると思っています。

 

次に気になる質問ですが、転勤は可能かどうかという設問です。

産業能率大学の調査では、「一度も転勤せずに同じ場所で働きたい」が僅差ではあるものの28.0%で1番多くなりました。

次いで「転居を伴う場合でも期間限定なら」が27.6%となり、「転居を伴わないのであれば転勤してもよい」が19.6%となりました。

「転居の有無、期間に関係なく転勤してもよい」は24.7%で、無条件に転勤を許容できるのは、全体で4人に1人の割合となりました。

一方、日本生産性本部の調査において、「働き方改革」で最も関心のある勤務形態(時間と場所)は、という設問では、「転勤のない地域限定勤務」と「在宅勤務制度」がそれぞれ3割弱と高い構成を見せています。

 

「正社員」という定義には、転勤を伴う勤務については無条件に受け入れることを含みます。

私たちの世代では転勤を受け入れることは当たり前のことでした。

この結果から見ると、無条件に転勤を求める従来の正社員一本での働き方は、明らかに制度疲労していることが明らかで、勤務地や働く時間を限定する働き方を制度化していくことが、それぞれの会社に求められているのは間違いないですね。

働き方の大きな世代間ギャップを感じずにはいられません。

 

今の人たちが可哀そうだなと思うのは、学生時代から能力やら資格やらと求められ、即戦力として発揮していくことが要求されています。

思えば私たちの世代は、特定な能力に関する能力は要求されず、長時間労働の中で多様な経験を積み重ねることで、仕事の能力を育成させられてきたのではと思います。

今の世代の人たちが育ってきた時代背景と、世代として置かれている環境に注目しながら、若い世代が求める働き方を考えていくべきかと思います。

 

荒木

 

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