転勤に関する雇用管理のヒントと手法

転勤2

4月といえば異動の季節でもあります。

仕事で関係している某社では、合併に伴って2000人規模の異動を4月1日付で行っています。

今月は1日2日が土日のため、引っ越しの引き合いが非常に多く、2月初旬の段階で既に引越し屋さんの空きが無かったとか。

転勤で悲喜こもごもな世の中ですね。

私の事務所は横浜の関内の一か所にしかありませんので、転勤は関係無いようですが、
実は非常に影響を大きく受け他人事ではありません。

と言いますのも、勤務する女性職員には配偶者がおりますので、
配偶者の勤務によっては、家庭生活にも仕事にも大きな影響があります。

ある職員については、昨年より配偶者の転勤より札幌に在住することになったため、
在宅勤務制度を始めることで対応していました。

それがなんと、今度はご主人が福岡に勤務ということになりまして、
札幌から福岡に大移動。

先日無事に引っ越しが完了し、新しい保育園にもお子さんが無事に慣れて、
月曜日からは通常勤務に復帰しました。

未だお子さんが小さい場合は配偶者の転勤に一緒についていく場合になるでしょう。

しかし共働きが当たり前になり、しかも女性活躍推進とか言われる時代においては、転居が必要な転勤に対して一定の配慮が必要になってきています。

また家族の介護という問題もなお一層転勤への配慮が求められ、
転勤に関してどのように対応すべきか、改めて考える機会を設けるべきかと思います。
そもそも転勤については、労働契約上の職務内容・勤務地の決定権限(配転命令権)に基づいて行われています。

就業規則に定めがあり、勤務地を限定する旨の合意がない限りは、企業は労働者の同意なしに勤務地の変更を伴う配置転換を命じることが出来ます。

ただし育児介護休業法第26条において、企業が就業場所の変更を伴う配置の変更をしようとする場合に、これにより育児や介護が困難となる男女労働者がいる場合には、その育児や介護に配慮することと規定されています。

よって仕事と家庭の両立のため、働きやすい環境整備のため、勤務地の変更の有無や範囲によって雇用区分が多様化していくことになっていくでしょう。

ア、転勤を前提とした働き方をする場合、
イ、転居を伴う転勤をしない働き方をする場合、
ウ、ある一定範囲の地域において転居を伴う転勤をする場合、

会社によっては多様な働き方を取り入れるために、上記のような働き方を設ける会社も多いでしょう。

このようなコースを設定する場合、賃金や昇進、昇格などの処遇について、どのようにすればよいか悩むところです。

働く場所を選ばない総合職的な従来からの正社員と、勤務地を限定する正社員との双方にとって、不公平感を感じさせないように処遇の均衡を図ることが求められます。

賃金水準の設定については、厚生労働省が出している「多様な正社員に係る雇用管理上の留意事項について」というリーフレットが参考になります。

勤務地限定のない総合職の賃金を100とした場合、
勤務地が限定された地域限定正社員の基本給、職務手当は、
地域によって95、あるいは90とするようリーフレットには記載されています。

また独立行政法人労働政策研究・研修機構によるアンケートでは、勤務地限定正社員と、無限定の正社員との賃金差が、5~10%とする企業が27.4%、10~15%とする企業が25.3%となっています。

厚生労働省の「『多様な形態』による正社員に関する研究会」従業員アンケート調査結果では、地域限定正社員の賃金が、いわゆる正社員と同じが43%、1割程度低いが27.9%、2割程度低いが20%となっています。

この辺が妥当な水準ということになりそうですね。

一方昇進に関しては、勤務地限定の正社員の昇進の上限・スピードについて、いわゆる正社員とほぼ同じ昇進スピードであるが、上限が異なるものが多いようです。

その理由としては、転勤による職務経験の差、異動範囲が限定されることによるポストの制約などが挙げられています。
3月30日に厚生労働省から、「転勤に関する雇用管理のヒントと手法」が公表され、転居を伴う転勤に関する問題点の整理が行われています。

本日のコラムはそこで公表されている内容を基にしたものですが、もっと詳細を確認したい方はこちらからご覧ください。

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