
障害者の雇用について、障害者雇用率とその仕組みの一部が代わることになりました。
一定規模以上の事業主の方からご相談頂くことの多い障害者雇用ですが、雇う側も働く側も色々と悩みの多い問題です。
従業員が一定数以上の規模の事業主は、従業員に占める身体障害者・知的障害者・精神障害者の割合を法定雇用率以上にする義務があります。
この法定雇用率は、障害者雇用促進法に基づき、労働者に対する対象障害者である労働者の割合を基準とし、少なくとも5年毎に、その割合の推移を勘案して設定することとされています。
昨年12月16日に障害者雇用促進法が改正され、
また本年1月18日に労働政策審議会にて資料が公開されました。
障害者雇用率についての記載があり、令和5年度から2.7%とするとありました。
現在の障害者雇用率2.3%から2.7%への引き上げは、従業員43.5人に1人から、37.5人に1人へと、かなり大幅な引き上げとなります。
ただしとして、2.3%から2.7%への引き上げは急なため、段階的に引き上げることが示されています。
それによると「雇入れに係る計画的な対応が可能となるよう、令和5年度においては2.3%で据え置き、令和6年度から2.5%、令和8年度から2.7%と段階的に引き上げることとする」としています。
下記の図のような段階的な引き上げになったので、
現在は43.5人以上とされている雇用義務のある事業所の規模は、
令和6年4月からは40人以上に、令和8年4月からは37.5人以上になります。
また一部の業種ではありますが、障害者を雇用しにくいとされている業種については、従業員を計算する際に除外率を設けることが出来るとされています。
この除外率については令和7年4月から引き下げることが決定しています。
障害者雇用を考えるとき、雇いたくても雇えない、働きたくても働けない、と双方が困っている問題があります。
それが障害者雇用率の算定に用いられる労働時間の問題です。
障害者雇用率を算定する際には、週30時間以上の労働で1人と算定し、重度の場合は2人とします。
また週20時間以上30時間未満の労働の場合には、重度で1人、それ以外では0.5人とカウントすることになっています。
これは障害者雇用促進法において、障害者の職業的自立を促進するという法律の趣旨からのこととなっています。
つまり事業主に雇用義務が課せられているのは週20時間以上の労働者となっています。
しかしながら、働いて貰う側の事業主として、障害者を雇入れたくて障害者が出来る仕事内容を切り出ししようとしても、一人一人の障害者に法で定める時間を確保することが難しいことがあります。
また障害者にとっても、働きたくても長い時間の勤務は難しい人が一定数存在しています。
特に最近増加している精神障害者に多いと言われています。
そのため、今回の措置では、新たに週に10時間以上20時間未満で働く場合も、雇用率制度の算定方法に組み入れることが可能となりました。
重度の身体障害者と重度の知的障害者、ならびに精神障害者を週に10時間以上20時間未満雇入れる場合には、障害者雇用率の算定で0.5人となります。

※厚生労働省労働政策審議会障害者雇用分科会資料から抜粋
精神障害者については、従来も20時間以上30時間未満で0.5人とされていましたので、10時間以上30時間未満に枠が拡大されたことになります。
これにより雇入れる側も働く側にとっても、非常に好ましいことになると期待できることになりました。
障害者雇用は全ての事業者が考えなくてはならないことだと思っています。
この改正で少しでも障害者雇用が進むことを期待します。
荒木康之

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