皆様こんにちは。
社会保険労務士事務所みらいの一條です。
前回のブログ冒頭の続きですが、
オンライン申請した家族全員分のマイナンバーカードの審査が通りました。
マイナポイントの申込をしようと、役所から届いた封筒を開けたら、カードがない!!
封筒に入っていた通知書には、
本人確認があるのでカードの引き取りをお願いしますとのこと。
あぁ、うっかり。もっと早くに封筒を開けておけばよかった。
しかも事前予約が必要って。
郵送発送でも役所で本人確認が必要って。
年内に引き取りできるかなぁ。
さて、今回は「出生時育児休業の就業と手続」について取り上げます。
出生時育児休業は、休業中に一部就業することが育児介護休業法で認められています。
通常の育休も、トラブル対応等の「一時的・臨時的」な業務に限っては一部就業が認められていますが、出生時育休は、一時的・臨時的な業務でなくても一部就業が認められています。
ただし、出生時育休中に働くためには、一定の要件を満たす必要があります。
一定の要件とは
●あらかじめ労使協定を締結すること
●労使間で必要な手続を取ること
です。
労使協定で定める内容については、法では触れられていませんので
厚生労働省の労使協定例のように
「出生時育児休業中の就業を希望する従業員は、就業可能日等を申出ることができるものとする」くらいに留めておいて構いません。
労使協定を結ばないと
労働者が出生時育休中に働きたいと言っても働くことができません。
また、働きたいと言う労働者がいても
事業主が出生時育休中は就業を認めないという方針であれば、
労使協定を結ぶ必要はありません。
労使協定を結んだら、次は労使間で下記①~④の順に必要な手続を進めます。
①労働者が就業してもよい場合は、事業主にその条件を申出
②事業主は、労働者が申し出た条件の範囲内で候補日・時間を提示
(候補日等がない場合はその旨)
③労働者の同意
④事業主の通知
上から順に詳しくみていきます。
①労働者が申出る条件とは、下記2点です。
A 就業可能日
B 就業可能日の「就業可能な時間帯」と「その他の労働条件」
Bの「就業可能な時間帯」は、所定労働時間内の時間帯に限られます。
たとえば、(所定労働時間外の)夜間2時間なら、在宅勤務であれば勤務できるという申出は法律上認められていません。
残業も認められていません。
「その他労働条件」は、就業の場所(テレワークの可否を含む)に関する事項等が挙げられます。
次に②事業主が提示する条件等についてです。
労働者から申出を受けた事業主は、法で定められた就業できる範囲内で、下記を提示します。
1.就業可能日のうち、就業させることを希望する日(希望しない場合はその旨)
2.就業時間帯その他の労働条件
就業日数等には下記の上限があります。
(1)就業日の合計日数が、出生時育休期間中の所定労働日数の2分の1以下(1日未満の端数切り捨て)
(2)就業日の労働時間の合計が、出生時育休期間中の所定労働時間の合計の2分の1以下
(3)出生時育休開始予定日・終了予定日を就業日とする場合は、当該日の労働時間数は当該日の所定労働時間数未満
(1)~(3)すべてを満たす範囲内で働く日時を設定する必要があります。
例)所定労働時間が1日8時間、1週間の所定労働日が5日の労働者が、
休業2週間・休業期間中の所定労働日10日・休業期間中の所定労働時間80時間の場合
⇒就業日数上限5日、就業時間上限40時間、休業開始・終了予定日の就業は8時間未満

(図は厚生労働省リーフレット「育児・介護休業法 改正ポイントのご案内(令和4年3月改訂)」)
続いて③労働者の同意については
事業主が提示した条件に対し、労働者が同意した場合に就業が可能となります。
最後に④事業主の通知については
労働者の同意が得られたら、事業主が下記を通知します。
Ⅰ.労働者の同意を得た旨
Ⅱ.出生時育休中に、就業させることとした日時その他労働条件
必要な手続に関する説明は以上になります。
細かい手続を経て、ようやく出生時育休中の就業が可能となります。
手続が細々しているので、手続の流れを厚生労働省資料のフローチャートなどを使って
確認するのもよいでしょう。

(図は厚生労働省「育児・介護休業法のあらまし(令和4年11月作成)」P58)
一連の手続は、原則書面で残します。
ファックスや電子メール等(SNS)でも印刷ができる場合はこちらの方法でも認められています。
厚生労働省から社内様式例が出ており、一連の手続に必要な様式は社内様式15~20です。
休業中に就業する日等は、出生時育休開始予定日の前日までに労使間で合意する必要があります。
労働者からの就業に係る申出と同意は、休業開始予定日の前日まで変更あるいは撤回ができますので、変更あるいは撤回の申出があった場合、事業主は申出を認める必要があります。
休業開始予定日以後は、特別の事情がなければ、撤回は認められません。
労働者から就労予定日に働けなくなったため
その日に年次有給休暇を取得したいという申し出があった場合は、
自社の年休取得の規定に従って取得させることは問題ありません。
最後に、出生時育休中の就業について、指針では下記のように示しています。
「(出生時育休=)産後パパ育休を含む育児休業は労働者の権利であり、休業期間の労務提供義務を消滅させる制度です。休業中は就業しないことが原則であり、産後パパ育休期間中の就業については、事業主から労働者に対して就業可能日等の申出を一方的に求めることや、労働者の意に反するような取扱いをしてはいけません。」
(指針第2の1の2)
労働者が就業を希望しない場合は、就業可能日等を申し出る必要はなく、事業主も労働者から申出があったとしても、必ず就業させなければならないものではありません。
このように、出生時育休中に働くことを法律で認める代わりに、労働者の権利が損なわれないようにするために、一定の要件や労使に手間のかかる手続を課しているのかもしれません。
(ブログ作成の参照資料:厚生労働省「育児・介護休業法のあらまし(令和4年11月作成)」P55~58、 「令和3年改正育児・介護休業法に関するQ&A(令和年4年7月25日更新)」Q6-4、Q6-8、リーフレット「育児・介護休業法 改正ポイントのご案内(令和4年3月改訂)」)
次回は
「改正育児・介護休業法 ~育児休業の分割取得~」
を取り上げる予定です。
「人」と「組織」と「社会」のみらいのために
社会保険労務士事務所みらいのスタッフブログ。
最後までお読みいただきありがとうございました。
一條