改正育児・介護休業法 ~個別周知と意向確認の義務化~

皆様こんにちは。

社会保険労務士事務所みらいの一條です。

 

この一か月、時短生活を送っています。

15年使い続けた電子レンジが壊れたことと夫の在宅勤務が増えたことをきっかけに

オーブンレンジ、トースター、食洗機を購入。加えて毎週3日分の宅食を始めました。

予想はしていましたが、世の中で便利と言われているものはやっぱり便利でした。

次は画面に線が入っているテレビを買うことになりそうなので

今からリサーチしておこうと思います。

 

令和4年4月1日から3回に分けて改正育児・介護休業法が施行されます。

改正内容は

①男性の育児休業取得促進のための子の出生直後の時期における柔軟な育児休業の枠組みの創設(出生時育児休業。(通称:産後パパ育休))

②育児休業を取得しやすい雇用環境整備及び妊娠・出産の申出をした労働者に対する個別の周知・意向確認の措置の義務付け

③育児休業の分割取得

④育児休業の取得の状況の公表の義務付け 

⑤有期雇用労働者の育児・介護休業取得要件の緩和

です。

 

改正のタイミングは

②と⑤が

令和4年4月1日から

 

①と③が

令和4年10月1日から

 

④が

令和5年4月1日から

 

となります。

 

 

今回のブログから施行が早い順から取り上げていきます。

  

今年4月1日から施行される②は下記二つの対応を事業主に義務付けています。

 

1、妊娠・出産(本人または配偶者)の申し出をした労働者に対する個別の周知・意向確認の措置

2、育児休業を取得しやすい雇用環境の整備

これらを事業主に義務付けることとなった背景には、特に育児を自分事として考えていなかった男性や育児休業を取得したいと言い出せなかった男性が育児休業を取得し、男女とも主体的に育児を行うことへの期待があるようです( パンフレット「育児・介護休業法 令和3年(2021年)改正内容の解説」)。

 

1から順に見ていきましょう。

 

具体的に事業主がすべきことは

本人または配偶者(事実婚含む)の妊娠・出産等を申し出た労働者に対して、

育児休業制度等に関する以下の4つすべての周知と休業の取得意向の確認

個別に行わなければなりません。

 

4つの周知事項

(厚生労働省の資料を基に作成)

 

個別周知と意向確認は、育休・出生時育児休業(産後パパ育休)の申出が円滑に行われることが目的のため、取得を控えさせるような形で行ってはいけません。

 

取得を控えされるような形、というのは

取得の申出をしないよう威圧する、申し出た場合の不利益をほのめかす、取得の前例がないことをことさらに強調するなどの様態

が挙げられています。(令和3年改正育児・介護休業法に関する Q&A、以下Q&A A2-12参照)。

 

 ちなみに「妊娠・出産」の申出については、「妊娠・出産」に準ずる以下の事実を事業主に申し出ることも、ここでの「申出」に当たります。

・ 労働者が特別養子縁組に向けた監護期間にある子を養育していること、養育する意思を明示したこと

・ 労働者が養子縁組里親として委託されている子を養育していること、受託する意思を明示したこと 等

 

個別周知 ・ 意向確認の方法については

(厚生労働省の資料を基に作成)

 

で行うように求められています。

 

①の面談に関しては、オンライン面談も可能ですが、

注意点として、対面で行う場合と同程度の質が確保されることが必要です。

音声のみの通話などは面談による方法に含まれません。

措置を実施した記録を残すまでは義務付けられていませんが、

書面や電子メールと違い、実施した記録が残らないので必要に応じて記録に残しておくことが推奨されています。(Q&A A2-11参照)

 

 

③FAX、④電子メール等に関しては、労働者が希望した場合のみ実施できます。

電子メールによる場合は、労働者と事業主が送信する情報を出力して書面を作成できるものに限ります。には、例えば、イントラネット(企業内LAN)、webメール(Gmail等)、SNS(LINE、Facebook、メッセンジャー等)が含まれます。

 

 

先に述べたとおり、個別周知及び意向確認を行う対象労働者は、妊娠・出産報告等を申し出た労働者になりますが、その労働者が「育休を取得するつもりはない」「制度周知は不要」と意思表示した場合であっても事業主は、その意向にかかわらず措置を講じなければなりません。

 

改正育介法第 21 条は事業主に対して、育児休業に関する制度等の周知及び意向確認の措置を講ずることを義務付けており、労働者が周知や意向確認の措置が不要である旨の意思表示をしていた場合であっても、事業主は、当該労働者に対し措置を講ずることが求められます。

労働者が周知及び意向確認を不要とする旨の意思表示をしている場合には、面談を行わず書面の交付(郵送によることも可能)で行うことも措置を講じたと認められる一例として挙げられています。(Q&A A2-3参照)

 

 

個別周知と意向確認の時期については 

労働者が希望の日から円滑に育休を取得できるように配慮し、

適切な時期に実施することが必要とされています。

 

具体的には

 (厚生労働省の資料を基に作成)

です。

 

個別周知・意向確認の措置は、

令和4年4月1日以降に妊娠・出産等の申出があった労働者に対して行えばよいとされています。

 

 

個別周知・意向確認の措置に活用できる資料が

厚生労働省HP「個別周知・意向確認書記載例」に掲載されています。 

自社ですぐに用意できる資料がない場合は

こちらを自社の制度に合わせて加筆修正し、活用してもよいかもしれません。

 

次回は「改正育児・介護休業法 ~育児休業を取得しやすい雇用環境の整備~」

を取り上げる予定です。

 

 

  

「人」と「組織」と「社会」のみらいのために

 

社会保険労務士事務所みらいのスタッフブログ。

 

最後までお読みいただきありがとうございました。

 

一條

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