育児休業Q&A 単身赴任で子と離れ離れに!養育特例は受けられる?

皆様こんにちは。

社会保険労務士事務所みらいの一條です。

 

新型コロナの影響で小2の息子のクラスが学級閉鎖になりました。

オンライン授業が朝からびっしり、休日も外に出るなと担任の先生からもきつく言われたそうで、初日から学校に行った方がラクだーとぼやいています。

自分が子供の頃は学級閉鎖!?ラッキー!!!でしたが

今の子は日中家でゴロゴロとはいかないみたいです。

体育の授業はどうするのかなと思って見ていたら

ほとんどストレッチや筋トレで家の壁を使ったりなわとびを使ったりして取り組んでいます。オンラインでは通常の授業と同じように行うのは難しそうな教科もありますね。頑張れ!!!

 

さて、前回までは育休(産休)復帰後の社会保険の特例措置として

①育休(産休)終了時月変

(復帰日以降の給与3か月の平均額が休業前の標準報酬月額と1等級以上差がある場合、固定給の変動が無くても社会保険の等級が変更可能な仕組み)

②厚生年金保険の養育特例

(養育する子が3歳になるまで給与が下がった場合、休業前の高いままの標準報酬月額で将来の年金額が計算される仕組み)

を取り上げました。

 

今回は、特例措置を受けられるか迷うケースについてみていきましょう。

 

 

 

それでは

Q1.夫(妻)が単身赴任で子供と離れ離れになった!養育特例は受けられる?

A2.受けられません。

 

養育特例は子を養育(=同居し監護すること)することが特例を受ける要件にあるため、子供との同居が必須です。

届出時には戸籍謄本や住民票など子供との同居を確認できる資料も提出しなければなりません。

参考となる日本年金機構の疑義照会はこちら↓

「厚生年金保険法第 23 条の 2(育児休業等を終了した際の改定)及び 厚生年金保険法第 26 条(3 歳に満たない子を養育する被保険者等の標 準報酬月額の特例)の条文中にある「養育」については、同義と解し取り扱います。 したがって、遠方への転勤のため単身赴任となった場合は、家族を 残して本人だけが任地へ赴き、子と離れて暮らすことになることから、 同居しているとは認められず、「養育」には該当しません。」(日本年金機構 疑義照会回答

子供を扶養に入れている場合は受けられそうと思いがちですが、扶養に入っているかどうかは関係ありません。

 

このケースでは子供との別居を解消して同居した場合に

特例の要件を満たしていれば受けられる可能性があります。

 

このときに気を付けたいのは、子供が3歳未満であることです。特例が受けられる期間は「養育を始めた月から3歳到達日の翌日の月の前月まで」ですので、子供の年齢は忘れずにチェックしましょう。そして、単身赴任をする時期によっては、標準報酬月額を比べる月が「子供と同居を開始した月(養育を始めた月)」と「その前月(養育を始めた月の前月)」になる可能性があります。必ずしも子供が生まれた月が起算月とはなりませんのでこちらも合わせて確認しましょう。

 

次は育休等終了時改定について。 

 

Q2.正社員(日給月給制)だった従業員が育休終了後に短時間正社員(日給月給制)として復帰しましたが、復帰後3か月の支払基礎日数はいずれも17日未満でした。育休等終了時の報酬月額の特例は受けられる?

A2.15日以上の月がひと月でもあれば受けられる可能性があります。

 

短時間正社員の場合、短時間就労者※と同じような取り扱いが認められています。

 

※短時間就労者とは、パートタイマー、アルバイト、契約社員、準社員、嘱託社員等の名称を問わず、正規社員より短時間の労働条件で勤務する人を言います。(日本年金機構HPより)

短時間正社員の育休終了時改定の取り扱いについては、日本年金機構の疑義照会では下記のように示しています。

育児休業等を終了した際の改定については、育児休業等終了日の翌 日の属する月以後の 3 ヵ月の支払基礎日数がいずれも 17 日未満である 場合には定時決定における取扱いに準ずることになるため、短時間就労者については、「標準報酬月額の定時決定等における支払基礎日数の 取扱いについて」(平成 18 年 5 月 12 日庁保険発第 0512001 号)2(1) による算定方法で算定することになりますが、短時間就労者の支払基礎日数について、通常の就労者とは別の取扱いを設けるのは、勤務日数が通常の就労者よりも少ないことが一般的であるためです。したがって、短時間正社員においても日給制であり、通常の正社員に比べて所定労働日数が短い場合においては、この短時間就労者と同様に扱うことが妥当です。」(日本年金機構 疑義照会回答

 

そのため、たとえば育休復帰日が2月10日とすると

2月、3月、4月の各月の支払基礎日数を見て、下記の要件のいずれかに当てはまったときに算出した標準報酬月額が、従前と比べて1等級でも変わっていれば特例の申請をすることができます。

短時間就労者の定時決定(平成18年度以降)

支払基礎日数標準報酬月額の決定方法
3ヶ月とも17日以上ある場合3ヶ月の報酬月額の平均額をもとに決定
1ヶ月でも17日以上ある場合17日以上の月の報酬月額の平均額をもとに決定
3ヶ月とも15日以上
17日未満の場合
3ヶ月の報酬月額の平均額をもとに決定
1ヶ月又は2ヶ月は15日以上
17日未満の場合
(ただし、1ヶ月でも17日以上
ある場合は除く)
15日以上17日未満の月の報酬月額の
平均額をもとに決定
3ヶ月とも15日未満の場合従前の標準報酬月額で決定

(関係条文 健康保険法第41条、厚生年金保険法第21条)

申請する際には届出用紙の備考に短時間正社員と書いて申請するとスムーズです。

また、短時間就労者の随時改定は上記に関係なく、継続した3ヶ月のいずれの月においても報酬の支払基礎日数が17日以上必要となるので、注意が必要です。

ここでは短時間正社員の例を取り上げましたが、

正社員のまま育児・介護休業法で認められた短時間勤務制度(所定労働時間の短縮等の措置)を利用して短時間勤務になった場合は、正社員の身分のまま一時的に勤務時間が短くなっただけなので短時間就労者と同じ算定方法にはなりません。

育介休法では短時間勤務制度に隔日勤務を組み入れることも認められていますが、年金事務所に確認したところ、その場合でも短時間就労者と同じ扱いで算定できず、通常の育休終了時改定の要件をみたさなければ特例の対象となりません。

混同しないように気を付けたいところです。

 

次回は令和4年4月1日から3段階で施行される改正育児・介護休業法について取り上げます。

  
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最後までお読みいただきありがとうございました。


一條

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