多様な正社員って何-その⑨-注目から5年。企業に普及はしたのか?

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皆様こんにちは、社会保険労務士事務所みらいの一條です。

前回のブログでお伝えした同一労働同一賃金ガイドライン案ですが、

報道によればガイドラインの具体的なルールが11月27日に決まったようです。

決まった内容は

正社員と非正規社員の間に存在する待遇差については

基本給や賞与は職業経験や能力などに基づく違いを認める

手当(通勤手当や出張手当等)や福利厚生(食堂、休憩室の利用等)は

原則違いを認めない

とのこと。

同一労働同一賃金に係わる短時間・有期雇用労働法の施行はまだ先ですが

今からしっかりポイントを押さえておきましょう。

 

さて、今回は

「多様な正社員って何-その⑨-注目から5年。企業に普及はしたのか?」です。

内閣府や厚生労働省が「多様な正社員」制度の提言をした2013年-2014年から

5年近くが経ちましたが、現在企業に普及しているのでしょうか。

 

厚労省所管の独立行政法人 労働政策研究・研修機構(JILPT)が

今年9月に公表した限定正社員に関する調査結果と

厚労省が2013年に公表した調査結果を見比べて

どんな感じかを見てみたいと思います。

全く同じ調査ではないので単純比較はできませんが、

類似の質問・回答内容を見比べることで現状を把握する

一つの目安になると思い取り上げました。

そのような視点でご覧いただきたければと幸いです。

 

5年ほど前と今を比べると、

限定正社員がいる企業の割合は?

2013年頃(以下、当時)⇒32.9%

2018年現在(以下、現在)⇒20.4%

 

あまり普及していないようです。

当時の調査では正社員300人以上の企業、

現在の調査では従業員100人以上の企業を対象にしていますが

従業員300人未満の企業でも普及していれば

過去に近いくらいの数字にはなったのではないかと思います。

 

次に、限定正社員がいる企業は

どういう理由で限定正社員という働き方を導入しているのでしょうか。(上位3つ)

当時⇒

1.「優秀な人材の確保」(43.3%)

2.「従業員の定着を図るため」(38.5%)

3.「仕事と育児や介護の両立(ワークライフバランス)支援のため」(23.7%)

現在⇒

1.「仕事と育児・介護・病気治療の両立(ワーク・ライフ・バランス)を支援するため」(53.9%)

2.「人材の特性に合わせた多様な雇用管理を行うため」(42.4%)

3.「優秀な人材を採用するため」(28.6%)

 

仕事と家庭の両立支援、人材確保という視点は当時から大事な要素でしたが

「ワーク・ライフ・バランスの支援」が現在の1位になっている点をみると

現実に支援が必要な状況が迫ってこの働き方を取り入れているように思えます。

 

では、限定正社員という働き方を導入したことにより企業が得られた効果は?

当時⇒

1.「人材の確保」(40.0%)

2.「多様な人材の活用」(26.7%)

3.「人材の定着」(24.7%)

(※複数回答)

現在⇒

1.「人材の定着率が高まった」(54.7%)

2.「社員のワーク・ライフ・バランスが向上した」(49.7%)

3.「人材の採用がしやすくなった」(48.9%)

(※「そう思う」「ややそう思う」の合計)

人材の確保や定着という点では、

その効果に手ごたえを感じている企業がいずれも多いようでした。

 

ここまでが企業調査の当時と現在の比較でした。

 

最後に2018年の調査結果の労働者調査で気になった点があります。

それは、自身が限定正社員である労働者のうち3割

限定正社員であることに「不満」があるとのこと。

 

柔軟な働き方ができると一般的には言われているのに

一体どんな不満があるのでしょうか。

ズバリ、賃金です。

不満の理由の1位が正社員に比べて「不合理な賃金差がある」(56.6%)と圧倒的。

そんなに正社員と賃金差があるのか、気になります。

企業調査で、正社員と限定正社員とで基本給に差がある企業に対して

限定正社員の基本給は正社員の基本給の何割程度か?とたずねたところ、高い順に

1.「8割超~9割以下」(43.0%)

2.「9割超」(24.4%)

3.「7割超~8割以下」(23.0%)

4.「7割以下」(6.7%)

でした。

基本給だけを見れば、そこまで労働者が不満を抱く数字に思えないのですが

手当などで差が出ているのでしょうか。

それとも企業と従業員それぞれが考える

限定正社員の労働に見合う賃金の認識にミスマッチがあるのでしょうか。

いずれにしてもこういった課題をクリアしていかなければ

労使双方にメリットがある働き方とされても

この先どんどん普及するとはいかないように思います。

 

(参照先:厚生労働省「『多様な形態による正社員』に関する研究会報告書」(企業アンケート調査結果)2012年3月公表。JILPT「多様な働き方の進展と人材マネジメントの在り方に関する調査(企業調査・労働者調査)」2018年9月公表)

 

次回は「多様な正社員って何-その⑩-まとめ」です。

 

「人」と「組織」と「社会」のみらいのために

社会保険労務士事務所みらいのスタッフブログ。

最後までお読みいただきありがとうございました。

一條

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