多様な正社員って何-その④

 

 

 

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皆様こんにちは、社会保険労務士事務所みらいの一條です。

社労士業界は繁忙期に入り、毎日仕事に家事育児にと、

何か追われている気がして、なんとなく気が休まりません。

そんな時に癒しをくれるのは昨秋から虫かごで飼っていた

一匹の小さなカタツムリ。(なんと越冬しました)

ゆったりとしたペースで動く姿を見ると、なんだか落ち着きます。

忙しいときこそ心を落ち着かせてくれる存在って大事ですね。

 

さて、今回は「多様な正社員って何-その④」です。

フルタイム正社員より勤務地や労働時間などを限定した

「多様な正社員」として労働契約を結ぶ、あるいは労働条件を変更するとき

会社はどのようなことに気を付ければよいのでしょうか。

雇用管理上留意するポイントに絞って、今回から数回に分けて取り上げていきます。

 

厚生労働省では『「多様な正社員」の普及・拡大のための有識者懇談会報告書

を踏まえて、7つの雇用管理上の留意事項を挙げています。

 

①労働者に対する限定の内容の明示

②多様な正社員への転換制度

③いわゆる正社員と多様な正社員間の均衡処遇(賃金、昇進・昇格)

④いわゆる正社員の働き方の見直し

⑤人材育成・キャリア形成

⑥制度の設計・導入・運用に当たっての労使コミュニケーション

⑦事業所閉鎖や職務の廃止などへの対応

(「勤務地などを限定した「多様な正社員」の円滑な導入・運用に向けて」より)

 

今回は①労働者に対する限定の内容の明示についてみていきます。

「限定の内容の明示」の必要性を考える前に

まずは「労働条件の明示義務」について確認してみましょう。

 

労働基準法では、使用者が労働者と労働契約を締結する際には

賃金、労働時間その他の労働条件を書面などで明示しなければならない

と定められています。(第15条第1項、同法施行規則第5条)

 

労働基準法は使用者に対して「労働契約の締結時」のみ

労働条件の明示義務を課しているので

たとえば数年後に入社時と違う労働条件に変更しました、という場合は

その条件を明示しなくても法的に問題ありません

(契約社員は更新のたびに明示義務があります)。

さらに、通達も「雇入れ直後の就業の場所及び従事すべき業務を

明示すれば足りる」(平成11年1月29日基発45号)としています。

 

実際に労働契約が変わるたびに雇用契約書を取り交わさない

ケースもよく聞きます。

 

では、入社数年後に入社時と違う労働条件で

「多様な正社員」に転換するケースについては

何も明示しなくてもよいのでしょうか。

 

この点に関しては

労働契約法では、労働者に提示する労働条件と労働契約の内容について

労働者の理解を深めること、できる限り書面で確認するもの

としています(第4条第1項、同第2項)。

 

具体的には、労働契約法施行規則(第4条関係)で

〇就業環境や労働条件が大きく変わる場面では、

使用者は説明と労働者の求めに応じて誠実に回答する

〇書面確認の場面では労働者及び使用者が話し合った上で

使用者が労働契約の内容を記載した書面を交付するものとする

〇労働基準法第15条第1項により労働条件の明示が

義務付けられている労働契約の締結時よりも広いものとする

(平成24年8月10日、基発0810第2号)としています。

 

つまり、労働契約法に従って

新しい働き方が従前の労働条件と大きく変わるようであれば

使用者は労働者に対して働き方や待遇について説明し

できる限り書面を交わすことが望ましいということになります。

(絶対しなくてはダメというものではありません)

 

多様な正社員の労働条件の明示について規定する法律はありませんが

有識者懇談会報告書では

勤務地、職務、勤務時間のいずれの限定においても

その限定の内容を具体的に明示することは、転勤、配置転換などに

関する紛争を未然に防止するために重要とし

書面での確認事項では勤務地、職務など限定の明示するように掲げています。

 

そして同じ報告書の中で、職務や勤務地の限定をめぐる争いについて

使用者が限定の有無や内容について曖昧に運用し、

労使の認識が一致していない場合などに争いが生じて

労使双方が限定がある(ない)と認識している場合や

限定の内容について認識が一致している場合

は争いにはならないとしています。

 

労使の認識にずれが無いと確信できている場合は

書面まで交わす必要性も感じないかもしれませんが

労使で交わした労働契約の内容の認識にずれが生じていたとき

口頭での約束だけだったらその認識のずれは

どうやって確認するのでしょうか。

 

「多様な正社員」に限ったことではありませんが

書面は内容を確認する手段の一つとして役立ちます。

(書面はあっても実態が違うという場合もありますが)

そのため、労働契約が大きく変わらなくても

できるだけ書面を交わすことが

望ましいのではないかと思います。

 

 

次回は「多様な働き方って何-その⑤」です。

引き続き多様な正社員の雇用管理上留意するポイントをお伝えする予定です。

 

 

「人」と「組織」と「社会」のみらいのために

 

社会保険労務士事務所みらいのスタッフブログ。

 

最後までお読みいただきありがとうございました。

 

 

一條

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