年休の計画的付与について

休暇中

年次有給休暇(以下:年休)の消化を義務付ける法律案が6日に閣議決定されました。

この法案によれば、10日以上の年休を与える従業員に対して、そのうちの5日については時季を指定して与えなければならないとしています。

強制的に年休を年に5日は消化させなければならない義務が発生しますので、なかなか年休を消化できない事業者にとっては多大な影響が出ると思います。

 

裁量労働制の問題とか、時間外労働の上限規制とか、さらには同一労働同一賃金とか、いろいろと話題豊富な働き方改革法案ですが、全ての事業者にとって影響を及ぼすという意味で、年休に関する改正は重要度が極めて高いものです。

年休はそれぞれの入社日にと勤続年数に応じて日数が付与されるものですが、取得に関しては各従業員に任されています。

よって年休の取得が多い人もいればまったく取得しない人もいても、法律的にはまったく問題はありませんでした。

しかし改正法施行後は、必ず年休を最低年に5日は取得させなければなりません。

 

昨年12月27日に公表された平成29年就労条件総合調査によると、年休の取得率は49.4%、取得日数は9.0日でした。

1,000 人以上が55.3%、300~999 人が48.0%、100~299 人が46.5%、30~99 人が43.8%となっています。

このデータだけをみれば今回の法改正の影響は少ないようにも思えますが、日ごろ関与させて頂いている企業の実態を考えれば、実態は非常に厳しいと思います。

というのも、このデータに出てくる最少人数の企業で従業員数30人から99人ですが、総務省・経済産業省「平成24年経済センサス-活動調査(企業等に関する集計 産業横断的集計)」によると日本の企業のうち従業員30人以下が94.5%となっているのです。

厚労省の調査は、ほんの5%の企業を調査の対象にしたものなので、特に中小零細の実態を反映していないと感じる部分です。

圧倒的に数が多い従業員数が少ない企業ほど、年休の取得率が低くなっているのですから、従業員30人以下の企業の取得率はかなり低いと推察されるのです。

しかし法律は強制的にすべての事業者を対象としますから、規模が小さいほど年休の付与義務化は負担となります。

何か対策はないのでしょうか?

 

そこで考えたいのが、年休の計画的付与です。

年休の計画的付与とは、年休のうち、5日を超える分については、労使協定を結べば、計画的に休暇取得日を割り振ることができる制度のことをいいます。

本来は従業員が自主的に取得する年休ですが、計画的付与では会社が半ば強制的に年休を付与することで、消化する日数を確保できるようになります。

年次有給休暇の計画的付与は、年次有給休暇の付与日数すべてについて認められているわけではありません。

それは、従業員が病気その他の個人的事由による取得ができるよう指定した時季に与えられる日数を留保しておく必要があるためです。

年次有給休暇の日数のうち5日は個人が自由に取得できる日数として必ず残しておかなければなりません。

このため、労使協定による計画的付与の対象となるのは年次有給休暇の日数のうち、5日を超えた部分となります。

 

では実際に導入している場合、どのようにして導入しているのでしょうか。

いくつかの事例をみてみましょう。

①企業もしくは事業場全体の休業による一斉付与方式
企業、事業場全体を一斉に休みにできる、もしくは一斉に休みにした方が効率的な業態については、全従業員に対して同一の日に年次有給休暇を与えるという一斉付与方式の導入が考えられます。

製造部門など、操業をストップさせて全従業員を休ませることのできる事業場などでは、このような活用方法が取られることが多いようです。

また、企業、事業場全体を休みにしても顧客に迷惑にならないような時期に、この一斉付与方式を導入するケースが多くなっています。

年末年始の休業日を増やすことを考えてみても良いでしょうし、最近増えている国民の休日を計画年休の対象とすることも方法としてありそうです。

 

②班・グループ別の交替制付与方式

企業、事業場で一斉に休みを取ることが難しい業態については、班・グループ別に交替で年休を付与する方式の導入が考えられます。

流通・サービス業など、定休日を増やすことが難しい企業、事業場では、このような活用方法が取られることが多くなっています。

 

③年休付与計画表による個人別付与方式
年休の計画的付与制度は、個人別に導入することもできます。

夏季、年末年始、ゴールデンウィークのほか、誕生日や結婚記念日など従業員の個人的な記念日を優先的に充てるケースも多いようです。

ある関与先では交代で取得する夏休みを、計画年休として消化する仕組みを2年前から導入し、従業員の満足度の向上に結び付けています。

 

重ねて言いますが、年休の付与は事業主の義務となります。

上手に計画的付与を導入することで、法律改正に対応するだけでなく、従業員の満足度の向上につなげてく知恵と工夫が求められていくと思います。

荒木

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